建設業法


(目的)
第一条
  この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増に寄与することを目的とする。

◆解説◆
建設業法は、国民を規制する行政法です。最終目的は”公共の福祉”を目指します。つまり、規制される結果、みんなのためになります。
具体的には、『建設工事の適正な施工』『発注者を保護』です。
規制される対象は、『建設業を営む者』『建設工事』に対して『資質の向上』『請負契約の適正』を図ります。

(定義)
第二条
  この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。
  この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。
  この法律において「建設業者」とは、第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者をいう。
  この法律において「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負つた建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約をいう。
  この法律において「発注者」とは、建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者をいい、「元請負人」とは、下請契約における注文者で建設業者であるものをいい、「下請負人」とは、下請契約における請負人をいう。
◆注目◆
・「建設工事」:土木と建築あわせて、28業種です。
 ちなみに来年6月に解体工事が単独の工事業となる予定です。
・土木と建築では、土木工事(道路工事など)が比較的公共工事が多いです。
・建設業の許可を受けない会社であっても(軽微な工事のみを行う会社)、建設業法の適応をうけます。

 

(建設業の許可)
第三条
  建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
   建設業を営もうとする者であつて、次号に掲げる者以外のもの
   建設業を営もうとする者であつて、その営業にあたつて、その者が発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの
◆ 解説 ◆
・第1項は、知事免許か大臣免許かどちらになるかの条文です。 他府県にまたがる場合は、大臣免許になります。
”営業所”チェックです。単なる事務所ではなく、契約等を行う営業所を想定しています。実際には、登記上の住所と営業所が異なることも多々あります。
・軽微な建設工事とは、工事一件の請負代金の額が建築一式工事にあつては1500万円に満たない工事又は延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅工事、建築一式工事以外の建設工事にあつては500万円に満たない工事(施行令1条の2)です。
ちなみに、専門工事500万円には、消費税を含みます。

 

(許可の申請)
第五条 
 一般建設業の許可(第八条第二号及び第三号を除き、以下この節において「許可」という。)を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣に、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。
   商号又は名称
 二  営業所の名称及び所在地
 三  法人である場合においては、その資本金額(出資総額を含む。以下同じ。)及び役員等(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ず

    る者又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる

    者と同等以上の支配力を有するものと認められる者をいう。以下同じ。)の氏名
   個人である場合においては、その者の氏名及び支配人があるときは、その者の氏名
   第七条第一号イ又はロに該当する者(法人である場合においては同号に規定する役員のうち常勤であるものの一人に限り、個人である場合におい

    てはその者又はその支配人のうち一人に限る。)及びその営業所ごとに置かれる同条第二号イ、ロ又はハに該当する者の氏名
   許可を受けようとする建設業
   他に営業を行つている場合においては、その営業の種類

(許可申請書の添付書類)
第六条 
 前条の許可申請書には、国土交通省令の定めるところにより、次に掲げる書類を添付しなければならない。
 一  工事経歴書
 二  直前三年の各事業年度における工事施工金額を記載した書面
 三  使用人数を記載した書面
 四  許可を受けようとする者(法人である場合においては当該法人、その役員等及び政令で定める使用人、個人である場合においてはその者及び政令

    で定める使用人)及び法定代理人(法人である場合においては、当該法人及びその役員等)が第八条各号に掲げる欠格要件に該当しない者である

     ことを誓約する書面
 五  次条第一号及び第二号に掲げる基準を満たしていることを証する書面
 六  前各号に掲げる書面以外の書類で国土交通省令で定めるもの
  許可の更新を受けようとする者は、前項の規定にかかわらず、同項第一号から第三号までに掲げる書類を添付することを要しない。

◆解説◆
・第5・6条は提出書類の記載ですので、申請する際の添付書類の列挙です。

提出書類”と”提示書類”は、別ですので申請する際は、注意が必要です。
・第6条第2項は省略できる書類を記載しています。
・第6条第4号の許可を受けようとする者の範囲が、今年4月からクローズアップされているところです。つまり、欠格事由は単に取締役の役員だけではない
ということです。
 (1)法人である場合においては当該法人
 (2)その役員等及び政令で定める使用人
 (3)個人である場合においてはその者及び政令で定める使用人及び法定代理人
 (4)法人である場合においては、当該法人及びその役員等
  役員等とは?(第5条第1項第3号)
   ①業務を執行する社員 ②取締役 ③執行役若しくはこれらに準ずる者
   ④相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者

 

(許可の基準)
第七条  国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
 一  法人である場合においてはその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)のうち常勤であるものの一人

   が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
    許可を受けようとする建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
    国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者
 二  その営業所ごとに、次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。
   イ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法による高等学校若しくは中等教育学校を卒業した後五年以上又は同法による大学

     若しくは高等専門学校を卒業した後三年以上実務の経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
   ロ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者
   ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
 三  法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人

    が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。
 四  請負契約(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないこ

  とが明らかな者でないこと。

◆解説◆
第1号 経営業務の管理責任者 が 必要です。
 この管理責任者は 常勤性 を要求しています!
 ですので、2社以上の会社役員の場合、常勤である期間の確認が必要です。実際の申請では、常勤性の証明ができないと受け付けてもらえません。

 さらに (イ)該当 と (ロ)該当の管理責任者がいるということです。この違いがわからなければ、実際の許可申請の書類作成に影響が出てきます。

第2号 専任技術者 が必要です。
 この専任技術者も イとロとハがあります。この違いも、許可申請の際に提示する書類が異なってきます。

第3号は、誠実性です。 許可申請の際には、誓約書や、賞罰欄の記載を要求しています。

第4号は、財産があることです。(500万円以上を要求しています。) 申請には、残高証明書(大阪府の場合、4週間以内のもの)等を提示します。

経営業務の管理責任者を 略して  ”ケイカン”  専任技術者を 略して  ”センギ”

 

第八条  

国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。

   成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
 二  第二十九条第一項第五号又は第六号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経

   過しない者

  ⇒第二十九条第一項第五号:不正に免許取得していた場合
  ⇒第二十九条第一項第六号
 建設業者が建設工事を適切に施工しなかつたために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるときに営業停止処分を受けた。

◆コメント◆
適切施工できずに、営業停止を受けて、免許取り消されるのは、発注者保護で当たり前ですね。
(三・四・五・六 省略)  
   禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

◆解説◆
刑法で定める刑罰は、死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料なので懲役・禁錮に該当すれば、5年間は免許は取得できません。
つまり、飲酒運転して人身事故等の処罰でも該当する場合があります。書面では、略歴書で賞罰欄に有無を必ず記入しないといけません。

   この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為

  の防止等に関する法律 (平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項 及び第三十二条の十一第一項 の規定を除く。)に違反したこ

  とにより、又は刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二百四条 、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七

  条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は

  その刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
   暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号 に規定する暴力団員又は同号 に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を

  経過しない者(第十三号において「暴力団員等」という。)
   営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに第一号から第四号まで

  又は第六号から前号までのいずれかに該当する者のあるものに係る部分に限る。)のいずれかに該当するもの
 十一  法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第九号までのいずれかに該当する者(第二号に

  該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条

  第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止さ

  れる以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
 ☆添付書類において、登記されていないことの証明書と身分証明で確認します。

 

 十二  個人で政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第九号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者について

  はその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する

  旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建

  設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
 十三  暴力団員等がその事業活動を支配する者

 

(許可換えの場合における従前の許可の効力)
第九条 
許可に係る建設業者が許可を受けた後次の各号の一に該当して引き続き許可を受けた建設業を営もうとする場合において、第三条第一項の規定により国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受けたときは、その者に係る従前の国土交通大臣又は都道府県知事の許可は、その効力を失う。
   国土交通大臣の許可を受けた者が一の都道府県の区域内にのみ営業所を有することとなつたとき。
   都道府県知事の許可を受けた者が当該都道府県の区域内における営業所を廃止して、他の一の都道府県の区域内に営業所を設置することとなつ

  たとき。
   都道府県知事の許可を受けた者が二以上の都道府県の区域内に営業所を有することとなつたとき。
2 (省略) 

■解説■
建設業の許可は、大臣許可と都道府県の2種類ありますが、両方を取得することができず、どちらか一つにする規定です。
つまり、許可権者はひとつということになります。この場合、法律的に効力を失うため廃業の届け出は不要になります。
<例>
 1号 花田建設㈱(大臣免許:大阪本店・神戸支店)    ⇒神戸支店を廃止する場合(大阪府のみになり、大阪府知事免許になる)
 2号 花田建設有限会社(大阪府知事免許:大阪本店・堺支店)   ⇒堺支店を奈良支店として移転(他府県にまたがるため、大臣免許になる)
 3号 花田建設(大阪府知事:大阪本店のみ)   ⇒和歌山に支店を新設(他府県にまたがるため、大臣免許になる) 
 許可換えのときは、申請時に有効な許可通知書の写しを添付が必要になります。